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ミスをなくすには、店舗が発注データを入力し、そのデータをS本部と取引先が電子媒体によって入手し、利用できるようにしなければならなかった。
システム開発はY堂にコンピューターを納入していた日本電気(現N)が担当した。 日本電気が「発注端末の開発に3年は必要」と説明したところ、Sは「人間が月に行く時代に3年もかかるのはおかしい。
6ヵ月でやって欲しい」と主張して、一歩も引かなかった。 当時、Sの出店数は年間で百店を超えていた。
業務の効率化と同時に消費者の変化について行くためは、発注業務のミスが起きにくい機器がどうしても必要だった。 発注端末の開発はSの指示の通り、約半年で完了した。

端末にはターミナルセブンという名前がついた。 バーコードを印刷した商品の発注台帳などをバーコードリーダーで読み込んで、電話回線でS本部に送信する。
当時は商品にバーコードが印刷されておらず、Sが独自に一つひとつの商品に対応するバーコードを決めていた。 確かにバーコードを活用することで入力ミスはなくなったが、S本部から取引先へは、規制によりデータ通信を使えなかった。
店から本部までの電話を使った公衆回線と、本部から取引先につながるオンライン専用の回線を接続することは、当時認められていなかったのである。 そのためS本部に集まったデータを紙に印刷し、取引先に郵便で送ったり、伝票を取りに来てもらったりしなければならなかった。
すでにSは札幌での店舗展開を始めていたが、札幌地区の発注データは電話回線でS本部が受け取り、それを北海道のベンダーに郵送するという非効率な方法をとっていたこともあった。 苦肉の策として浮かんだのが、一般商用サービスとして認可されていた米GE・電通のVAN(付加価値ネットワーク)活用だった。
発注データをわざわざ米オハイオ州のコンピューターセンターまで飛ばし、それから直ちに日本に送信した。 約半年間は人工衛星経由でデータのやりとりをし、その後は規制緩和もあって専用ネットワークへと移行した。
これが原型となって、現在では「S」の各店舗とS本部やコンピューターセンターが光ファイバーで結ばれ、ベンダーなどの取引先や共同配送センターなどはISDNでつながっている。 店舗での発注情報が生産計画、資材の調達、商品配送などの現場に隅々まで行き渡り、発注した商品がスムーズに店舗に届くようになっている。
Sは1982年から約3年間、平均日販が50万円を目前に頭打ちになっていた。 創業直後から一貫して売れ残った死に筋商品を店頭から排除して在庫を減らし、人気(売れ筋)商品を積極的に仕入れて、売り上げと利益を高めてきたが、数字が改善されなくなってきたのである。

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